人にとって、食は単に空腹を満たすためのものではありません。確かに人間の生命維持にとって必要不可欠なものであり、古来、食品産業が「胃袋産業」と呼ばれてきたことにもその存在価値の一端が伺えます。
そして、「食文化」という言葉からも分かるように、長い歴史の中から培われてきた風土や民族性が、食品には現れてきます。食品は人々に生きる喜びを与えることもできるのです。だからこそ、食品産業で働く原点として「食を通して感動を創り出したい」と考える人は数多く存在します。
一方、食の安全性に対する社会の目は厳しさを増し、ひとたびトラブルが発生すれば企業は大きなダメージを受けます。また、原料高騰や少子高齢化による競争激化などから、厳しいコスト削減も求められています。 食品産業で働く人は、重大な社会的責任のある仕事に従事していることを常に噛み締める必要があるのです。
このように厳しい側面があることも事実ですが、何より、食を通じて社会に大きな影響を与えたり、人々に喜びを与えたりできるのは、食品産業に携わる人だからこそ感じることができる、働くことの意義と言えるのではないでしょうか。
食品業界で働く人にとって、「食」の探求は生活の中の重要な一部分を占めているのではないでしょうか。
とりわけ商品の企画開発を担当する人は、常日頃、試作と試食を繰り返します。「食べることが生きがい」「さまざまな食文化を探求したい」という人にはまさに天職であり、思う存分力を発揮できるはずです。
キャリアを積めば積むほど、日常生活における「食」についての知見も豊かになっていくでしょう。自らがバリエーションに富んだ食生活を探求し、それが仕事にも跳ね返ってくる。そんな充実したオンとオフを送ることができます。
食品産業で働く人の喜びの一つは、自社ブランド商品をお店などで見つけるチャンスが多くあるということです。
中には1店舗で多くの商品が陳列されるメーカーもあり、また、インターネットで自社商品に関する評判を目にする機会もあるでしょう。開発はもちろん、マーケティングや営業、生産工程などで自らが関わった商品が多くの人に親しまれている姿を見るのは、仕事に対する誇りにもなるはずです。比較的身近なところで自社商品を見かける機会がある食品産業では、より大きなモチベーションを得ることができると言えるかもしれません。