豆知識

  • 1 中国では既に紀元前600年頃の遺跡からも餃子らしき痕跡が見つかっている。また、唐の時代とされる新疆(しんきょう)ウイグル地区の墳墓から餃子の化石と思われる遺物が発見されている。
  • 2清代(しんだい)の書物『随園食単(ずいえんしょくたん)』には「肉餡」という記述が見られ、餃子のことを指しているとされる。
  • 3 中国では、餃子の形が『元宝(中国の古銭)』に似ていることから、縁起が良い食べ物とされている。
  • 4餃子が日本へ伝えられたのは、江戸前期説が有力とされる。徳川光圀が師事した儒学者・朱舜水(しゅしゅんすい)によって紹介されたと伝えられている。
  • 5長崎奉行だった中川忠英の著書『清俗紀聞(しんぞくきぶん)』(1799)には、餃子の絵が紹介され、「カウツイン」と読ませている。
  • 6戦前の日本では餃子の存在はあまり知られていなかった。しかし、明治~大正期には支那料理店で餃子が作られていたようである。
    ただ、確実な証拠はない。
  • 7中国では、水餃子や蒸し餃子で食べ残った物を間食用として焼いて食べていた。中華鍋に貼り付けるようにして焼いたため「鍋貼(グゥオティエ)」と呼ばれていた。
  • 8日本では、餃子は戦後になってから普及した。第二次世界大戦中、満州に渡った人たちが現地で餃子の味を覚え、帰国後、作って食べるようになった。
  • 9 餃子は中国語で「ジャオズ」と呼ぶ。これと焼き餃子である「鍋貼」の発音「グゥオティエ」が混ざって、「ギョウザ」となったものと推測されている。
  • 10 白菜やキャベツといった餃子の具材の主力となる野菜は戦後になって増産が始まり、庶民に親しまれるようになった。
  • 11 戦後のアメリカからの小麦粉の輸入、白菜やキャベツなどの野菜の増産により、素材が手軽に、安価に入手できるようになったため、餃子が普及した。
  • 12 戦後まもない頃、餃子を売る店は、闇市や駅前のバラックからスタートし、水餃子から始めた店が多かった。
  • 13 中国の「鍋貼(グゥオティエ)」を真似て焼き餃子を出すようになると、日本人の好みに合い、闇市でも行列ができるほどの人気だったという。
  • 14 昭和20年~30年代、餃子1人前は大体50円程度というのが相場だったようだ。ラーメンよりも高いか同じ程度だった。昭和30年代には、餃子は庶民の人気料理となっていた。
  • 15日本では、終戦後から昭和30年ころにかけて、自分で作るだけでなく、餃子店を開業する者も現れた。
    博多『宝雲亭』(1947年)
    東京『泰興楼』(1949年)
    神戸『ぎょうざ苑』(1951年)
    大阪『珉珉』(1953年)
    福島『満腹』(1953年)
    浜松『石松』(1953年)
    広島『王』(1957年)
    宇都宮『宇都宮みんみん』(1958年)
    などの老舗がある。
  • 16 餡にニンニクを入れるのは日本流で、戦後は豚肉が高価だったため中国のように羊肉を使う場合もあった。臭い消しとしてニンニクを使うと人気を博し、日本の餃子の特徴として定着した。
  • 17 昭和30年代には、テイクアウト惣菜として家庭でも親しまれるようになり、30年代後半には、スーパーで餃子の皮も販売されるようになった。
  • 18 1980年頃、大手食品会社が焼き餃子を発売。以降、冷凍やチルドタイプなどの餃子が各メーカーから発売される。
  • 19 90年代になると、餃子消費量日本一をめぐって、宇都宮市や浜松市が競い合うようになる。餃子をテーマにした町おこしの始まりである。
  • 20 2016年の1世帯あたりの餃子年間購入額ランキングは、浜松市が3年連続の日本一。2010年までは宇都宮市が15年連続1位に輝いたが、その後は2013年を除き浜松市に軍配が上がっている。
     
    1位浜松市4,818円
    2位宇都宮市4,651円
    3位宮崎市2,895円
    4位京都市2,869円
    5位大津市2,753円
    ・・・
    10位前橋市2,443円
    前橋市も隠れた餃子消費大国なんです。
  • 21 2002年には東京・池袋に「ナンジャ餃子スタジアム」、2004年には大阪・梅田に「浪速餃子スタジアム」と、相次いで餃子のテーマパークが登場している。
  • 22 定番の宇都宮、浜松以外にも福島、裾野(静岡県)、津(三重県)、博多(福岡県)などをはじめ餃子の町は数多い。
  • 23 中国では、白菜の餡が主流だが、日本では、大きくキャベツ餡と白菜餡に分かれる。白菜の餡は味がなめらかで食べ飽きない。キャベツの餡は、食感も甘みもしっかり感じられる。
  • 24 キャベツに多く含まれる「ビタミンU」には、胃粘膜の新陳代謝を促進したり、胃酸の過剰分泌を抑えたりする働きがある。
  • 25 餃子の餡によく使うニラやニンニクに含まれる「アリシン」という成分は、殺菌作用があり風邪の予防にも有効と言われている。また、豚肉に含まれる「ビタミンB1」の疲労回復効果を高める効果がある。
  • 26 ニンニクは消化を助け、体内の栄養素を燃焼させてエネルギーに変える働きがあり、新陳代謝を盛んにして血行を良くする効果がある。
  • 27 餃子でおなじみの生姜の成分には免疫力を高めたり、殺菌効果がある。また、体を温める効果があるため、冷え性改善も期待できる。
  • 28 2016年のキャベツ出荷量は、群馬県が全国1位であった。(2位は愛知県)県内でも高原キャベツで有名な嬬恋村は、昼と夜の温度差が大きいため美味しいキャベツができる地域である。
  • 29 しゅうまいの上にトッピングされているグリーンピースは、学校給食用としてショートケーキのイチゴをイメージして考案されたといわれている。
  • 参考文献『餃子の探求』(旭屋出版)、『餃子の教科書』(枻出版社)
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